クローバードリームライブ2018

~見つけてください、僕たちを~

〜見つけてください、僕たちを〜
今年のドリームライブは東京のアフターケア相談所所長の高橋亜美さんをお迎えし、社会的養護の必要な子どもたちに向けて地域ができることをお話していただきました。

本来自分を無条件に大切にしてくれるはずの親から
日常的に暴力•暴言を受けることから
身を守るために

嘘をつく
他者への攻撃
固く心を閉ざす 
うそつきと呼ばれた少年の話

子どもたちが大人や社会に
 抱えさせられた問題、症状、困難
生きるために必要だった術

「寄り添い続けてくれる
 育み続けてくれる
 誰かの存在」
「生きていてよかった」と思えること
「自分を大切に想う気持ち」

四つ葉のクローバーは
「命を育む場所」

亜美さんは切々と語ってくれました。

「命を育む」
なんて重いことでしょう。
なんて尊いことでしょう。

四つ葉はちゃんと命を育んであげられているのだろうか?

『はじめてはいたくつした』高橋亜美 編著

わたしはお父さんとお兄ちゃんの3人暮らしだった
お父さんはトンネルやダムの工事をする仕事
仕事が入ると1ヶ月
家に帰ってこない日もあった
お父さんがいないとき
家のことやわたしの世話をするのはお兄ちゃん
小学校にはいったよ
だって給食が食べられるから
お父さんが仕事でいないと
家でごはんは食べられないから
小学校のときの友達には
会いたくないな
だってわたし汚くて臭かったから
毎日同じ体操服を着て
素足で靴をはいていた
自分では
自分が臭いってわからなかった
わたしはずっとお兄ちゃんの言いなりだった
お兄ちゃんの命令は絶対だった
命令をきかないと
お兄ちゃんは私をたたいた
中学生になったお兄ちゃんは
いつも
私をたたくようになった
お兄ちゃんの友達もいっしょに
たたいたりけったりして
わたしが
鼻血を出したり
立てなくなったりすると
ほんとうにおかしそうに
大声で笑っていた

ある日
家におとながたくさんやってきた
「これからは安全な場所で生活するよ。
お兄ちゃんとは少し離れて生活するよ」

突然 施設で暮らすようになった
はじめて施設に行った日
施設の人がわたしの足の裏を見て
「カサカサ だね。痛かったでしょう」
って言いながら
クリームをぬって
くつしたを
そっとはかせてくれた
生まれてはじめてはいた くつした
胸がドキドキした
お兄ちゃんは別の施設に行った
と聞いたけど
お兄ちゃんもくつした
はかせてもらっていますか?
って聞きたくて でも 聞けなかった
お兄ちゃんも
くつした
はかせてもらっていますように

続けて亜美さんが言われた言葉です。
「その女の子は生まれて初めて、くつしたをはいたことが嬉しかった以上に
他人に優しく言葉をかけてもらい、ひびわれた
足にクリームをぬって、くつしたをはかせてもらったことが嬉しかったのでしょう」

四つ葉はクリームを塗り、くつしたをはかせてあげられているのであろうか?

自問自答の日々が始まります。

 

 

「嘘つきと呼ばれた少年の話」

 

僕は嘘つきだと云われて育った

 

両親からも学校の先生からも友達からも皆僕を嘘つきと呼んだ

 

気付くと僕は嘘をついていた ...

 

自分の口が違う人の口になったように嘘が次から次へとスラスラとでてきた

 

「こんな嘘云ってどうするんだ、その嘘のためにまた大きな嘘をつかなくちゃならないんだぞ」と僕は僕につっこみながら、でも嘘をつくことは止められなかった

 

僕の一番幼い日の記憶は5歳の頃のことお父さんとお母さんと僕の3人で飛行機に乗ってアメリカを旅行したこと

 

でもそれは僕の中で作り上げた幻想だったと小学校2年の時初めて知った

 

旅行のこと友達に話したら「どうせまた嘘だろ!」って云われたから、お母さんに聞いたんだ

 

「お母さん、僕が5歳の時家族3人でアメリカに行ったよね?!」

 

「はぁ?アメリカどころか家族で旅行なんて一度だってないよ。あと3人って誰のことを言ってるの?」

 

「お父さんとお母さんと僕の3人だよ!!」

 

「お父さん?お父さんはお前が生まれる前に家を出て行ってるんだ!お前はお父さんを見た事も会った事もないんだよ」

 

アメリカ旅行は僕の中でたった1つ嘘じゃない出来事だったのにそれも嘘だった

 

アメリカ旅行はたった1つのお父さんと過ごした記憶だった

 

アメリカ旅行はたった1つの家族で過ごした僕の楽しい思い出だった

 

自分が自分に嘘をついていたことに僕は何年も気付くことが出来ず愕然とした

 

僕にとって家は自分を閉じ込めて生きなければならない場所だった

 

いつだってお母さんは怒っていたなぁ。

 

怒ってる顔しか思い出せないなぁ

 

怒って僕を叩いたり、殴ったり、蹴ったり、裸にしてベランダに一晩中正座させたり、パンツだってはかせてもらえなかった、トイレだって行かせてもらえなかったよ…

 

それは毎日毎晩のことだった

 

地獄があるのならこんなふうなのかな、僕ん家よりは地獄の方がいいよね?神様…

 

叩かれながらそんなことをいつも思っていた

 

腫れ上がった顔で学校に行くと友達は皆びっくりして心配してくれた

 

でも友達にはお母さんに殴られたなんて絶対に言えなかった、言いたくなかった。

 

何でだったのかな

 

小学1年生の僕のプライドだったのかな。

 

お母さんが僕を傷つけることを僕は認めたくなかったのかな

 

先生、先生にも言えなかった。

 

でも先生には気付いてほしかった。

 

「先生僕にもっといろんなことを聞いてよ、僕からこの腫れ上がった頬の理由を聞き出してよ、先生にしか今の僕を助けられないよ、先生僕の家は地獄だよ、先生助けて、先生助けて」

 

心の中で僕は叫んでいた、いつもいつもいつも

 

でも僕は声にして「助けて」とたったの一度も言えなかった。僕の口から出る言葉は嘘ばかり

 

そして先生は僕を叱る。

 

「何で嘘ばかりつくんだ、嘘だけはつくな!」「嘘をついたら誰も君を信じてくれないぞ!君を大切に思ってくれないぞ!」

 

そうなると僕は先生に酷い言葉を言ってしまう、暴れてしまう。席に座って授業なんて聞いていられなかったよ、自分が自分でコントロール出来なくなるんだ。

 

僕の口から出ることは嘘だけだった

 

嘘は僕の抱く幻想、唯一の逃げ場だったからだろうか

 

僕のおかれた現実では決して起こることのない嘘をつくことで、僕の世界が一変することを心のどこかで求めていたからなのか

 

引っ込みのつかない嘘をつき親や先生に叱られ、ときに罵倒され、友達には呆れられ見放されていった

 

それでも僕は嘘をつくことが止められなかった

 

嘘をつくことを止めることが怖かった

 

だから小さい頃の僕を知っている人は皆僕のこと、「嘘つき」としか覚えていないよ

 

嘘ばっかりついてる奴がいたなぁって、何かあるとすぐキレる奴がいたなぁって

 

僕自身も小さな頃の記憶は「僕は嘘つきだった」ってことしか思い出せない

 

少年の想いのこもる亜美さんの朗読に

 

静まりかえった会場からすすり泣きが聞こえる。

 

「寄り添い続けてくれる

 

育み続けてくれる誰かの存在」

 

四つ葉はちゃんとなっているのだろうか。

 

 

 

 

舞台にあがったとたんに視線恐怖症に陥ったリョウ君。

 

何度も何度も間ができた。

 

スタッフ全員、もう終わっていいよと側にかけよりたい気持ちで胸が痛くなった。

 

彼は投げ出さなかった。最後はスゴイ言葉を告げた。

 

「皆さんは、何を聞きたくてここに来られてますか?

 

皆さんが知りたいことはどんなことですか?

 

帰りにアンケートに書いてもらえたらありがたいです。

 

来年語る四つ葉の若者が助かるので・・・」

 

たくさんの拍手と感想をいただいた。

 

想いをうまく伝えられず落ち込むリョウ君を想像できたのであろうか。アンケートを書いてくださった人がおられた。

 

皆さまにも読んでいただきたく紹介させてもらいます。

 

一昨年、そして昨年、そして今日。

 

時を経るごとに確かな歩みを感じさせてくれるあなたの姿に

 

思わず熱いものがこみあげてきます。

 

一体どれほど心の深いところで、重い扉を押し開いてきたことだろう。

 

それは決して容易な作業ではなかったはずです。

 

私はあなたの底しれない優しさと果てしない心の広大さを感じます。

 

それはもしかするとあなたが日常的に行っている、

 

その壮絶な心の作業が養った、かけがえのない宝石なんじゃないかと思えてなりません。

 

その宝石があなたの人生に、そしてこの世の中に

 

活かし尽くされる未来がやってくることを

 

心から祈っています。頑張ってくれて有難う。

 

落ち込んだリョウ君が優しさと勇気と愛をいただき

 

喜んだのは言うまでもありません。

 

彼の言葉。

 

「誰やろ?去年も一昨年もってどこで会ったんやろ。

 

誰かわからんでも、わかってくれる人がいることが嬉しい。

 

その人も苦労しはったんかな・・・」

 

心より感謝致します。